ある老老介護のご夫婦のお話
ある老老介護のご夫婦のお話です。
奥様は、末期のがん。
自らホスピスに入ることを選ばれた。
それは、ひとり残すこととなるご主人が今後生活していくこととなる施設を決めてからのことだった。
50年という年月、献身的にご主人を支えてこられた奥様。
最期まで我が身よりご主人の身を案じられる。
ふたり連れ添った長い年月の中で初めて離れ離れに暮らすおふたり。
ご主人は、毎日のように奥様の元に通われる。
それでも無情にも奥様の体力は、日に日に衰えていく。
「おれは、お前がいなくなったら生きてる意味がない。」
反応が弱くなった奥様の手を握りしめ、ご主人は呟かれる。
看取り士は、ご子息様のご依頼によりご主人のお見舞い時、ご夫婦にずっと寄り添ってきた。
もう時間がない。
「今夜(ホスピスに)お泊りになられますか。」
「一緒にいてくれますか。」
「はい。」
「それなら。」
ご主人とともに奥様の元に寄り添う。
ずっと付き添うご主人も高齢である。
家族部屋に行って休んで頂くようお声掛けする。
代わりに看取り士は、夜どおし奥様のベッド脇にひとり寄り添った。
未明に奥様の呼吸が変わる。
家族部屋に休むご主人を起こし、ふたりで奥様のそばに寄り添う。
だんだんと呼吸が弱くなっていく奥様。
心の中に何を思うのだろう。
ただじっと奥様を見つめ寄り添うご主人。
そして、最期の呼吸をご主人はしっかりと確認された。
看取り士は、奥様をそっと抱き起こしご主人にしっかりと抱きしめて頂いた。
「奥様を抱きしめてあげてください。
私は、外におりますので。」
奥様をしっかりと受け止めキスをするご主人。
看取り士が、病室を出るとご主人が奥様の名前を呼びながら慟哭する声が聞こえる。
モニターもつけないホスピス。
看護師もまだ奥様が息を引き取られたことを知らない。
ふたりだけの尊い時間が流れる。
奥様は、最愛の夫に抱かれ旅立たれた。
(ここまで)
このご主人が、いまももの家にいる入居者様です。
可愛いスタッフ♡と毎日楽しそうです(^^)
そして、看取り士としてそばに寄り添っていたのが弊社代表です。
昨年活動させて頂いたご縁のお話です。
チームももでは、看取りまで完全対応致します。
昨年は、「独居」で「生活保護」の方にも自宅で最期までお過ごし頂きました。